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静岡市の空き家・空室率と賃貸活用の可能性

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静岡市では住宅需要の変化や人口動態の影響で空き家が増加傾向にあります。賃貸活用が進む空き家の特徴について、データをもとに解説します。

静岡市の空き家数とその推移

総務省が公表している2023年の住宅・土地統計調査(※1)によれば、全国の空き家数は約900万戸、空き家率は13.8%と過去最多を記録しています。

静岡県全体では総住宅数約177万戸のうち空き家数は約29.5万戸、空き家率は16.6%です。

静岡市の市長定例記者会見の発表資料(※2)によると、市内の空き家・空き室数は2003年の27,330戸から2023年には52,700戸へと約2倍に増加しており、顕著な伸びを示しています。

なぜ空き家が増えて
いるのか?

空き家が増加している背景には、次のような構造的要因があります。

人口減少と世帯数の変化

静岡市の人口は1990年の約74万人をピークに減少に転じ、2025年4月末時点で約67万人まで減少しています。

出生数の減少に加え、若年層の都市部流出や核家族化の進行で単身世帯や高齢単身世帯が増加する一方、ファミリー向け住宅の需要は縮小傾向です。従来型の間取りや設備での入居ニーズを満たせない住宅が増え、空き家化が促進されています。

高齢化の進行

静岡県では毎年4月1日時点で高齢者人口を調査しており、2024年度調査でも65歳以上人口の比率が上昇し続けています。

高齢化の進展により、高齢者の単身世帯化や介護施設への入居でかつての持ち家が空き家となるケースが増加。特に築年数の経過した住宅では、バリアフリー化や設備更新のコストが高く、放置されやすくなっています。

相続後の放置

相続を契機に複数の住宅を所有する世帯が増えていますが、売却や賃貸化には仲介手数料やリフォーム費用といった初期コストが伴います。管理が行き届かないまま放置されやすく、周辺環境の景観・防災リスクの観点からも課題となっています。

自治体が補助金制度を整備しても、所有者の意思決定や経済的余裕が追いつかないケースが依然として多いのが実情です。

賃貸活用される空き家の
特徴とは?

すべての空き家が賃貸に適しているわけではありません。以下のような条件を満たす物件は、比較的スムーズに転用が進んでいます。

立地が良い(駅・バス停・
商業施設に近い)

公共交通機関へのアクセスが良い立地は、通勤・通学の利便性を求める単身者やファミリー層など、需要が多いです。

駅やバス停から徒歩圏内であり、周辺にスーパーやドラッグストア、医療機関といった生活利便施設が充実していれば、内見率や問い合わせ数が高まり、安定した稼働率を維持しやすくなります。

立地が良い物件は家賃設定にも余裕が生まれ、オーナーにとっても有利な賃貸経営が可能となります。

構造的に使用可能(耐震性
や水回りの状態が良好)

築年数が古くても、耐震補強が施されている住宅や、配管・給排水設備が更新済みであれば、入居後のトラブルリスクが低減します。

専門家による診断を実施し、安全性と快適性を確保することが大切です。特に水回りは入居者満足度に直結するため、劣化状況を見極めた上で必要な補修を行えば、長期的な運営コストを抑制できます。

修繕・リフォームの手間が
比較的少ない

簡易的なリフォームで印象を一新できる物件は、初期投資を抑えて迅速に賃貸市場へ投入できます。

例えば、クロスの張替えや床補修、照明器具の更新など、清潔感と明るさを演出することで入居希望者の関心を集めやすくなります。

大規模な構造補修や外装工事が必要な場合は、工期とコストが増加し、収益化までの期間が延びるため、現状の建物状態を正確に把握したうえで、費用対効果の高い改修計画を立てることが重要です。

ペット可や駐車場付き
などの付加価値がある

ペット飼育可や駐車場付きといった付加価値があれば、競合物件との差別化が図れます。犬や猫を飼育する世帯が増えており、ペット可対応にすることで問い合わせ数が増加するケースがあります。

車社会の地方都市として駐車場スペースを備える物件は、ファミリー層や通勤者にとって魅力的であり、長期入居を促しやすいのがメリットです。付加価値によって家賃水準を向上させつつ、空室リスクの低減ができます。

上記のような転用しやすい条件の空き家以外でも、地方ではリノベーションして貸し出す「古民家賃貸」や、「二地域居住」向けの貸し出しなど、新しい活用も増えています。

まとめ
空き家を収益物件として活かすには

まずは物件の現状把握を徹底し、耐震基準や設備状況、境界や用途地域といった法令上の制限を専門家に確認しましょう。

近隣の賃料相場や入居率、ターゲットとなる入居者層を分析し、家賃設定や間取り変更の方向性を検討します。コストと効果を見極めたリフォーム計画を立て、内装・設備の更新で物件の魅力を高めます。

募集広告や写真撮影では、物件の強みを的確に訴求し、問い合わせを増やしましょう。管理方法については、管理会社への一括委託とセルフ管理の両方を比較検討し、家賃回収やトラブル対応の体制を整えることで、安定的な収益確保につながります。

空室対策や家賃設定、管理費の見直しなど、経営改善のヒントが見えてきたら、実際に課題解決に強い管理会社もチェックしてみましょう。

「空室が増えてきた」「トラブル対応が遅い」「家賃の入金が不安定」など賃貸管理の困りごとはオーナーや物件ごとに異なります。
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